株でお金を稼ぐというと、安値の時に株を買って、高値の時に株を売り、その差分による利益を得る方法が一般的な手法と思われますが、株の配当金を得るという方法でもお金を稼ぐことが出来ます。
株の配当金は、株を所有しているだけであとは勝手に手元にお金が流れてくる不労所得の代名詞です。
配当金で支払われる額は企業によってまちまちなので、配当金額の高さは『配当利回り』で判断されることが多く、この値は配当金額÷株価×100であらわすことが出来ます。
一般的に配当利回りが3%以上の配当金があると高いと言われ、その企業の株を『高配当株』と呼ばれることが多いです。
配当金を多く得るには、この配当利回りが高いことに越したことはないのですが、配当金というものは毎年必ず決まった額ではなく増減します。
そのため、配当利回りが高いからその株に全力投資するという行為は非常に危険です。
そこで、今回は高配当株の中でも投資しても問題ない企業かどうかの見極め方について解説していきたいと思います。
配当金とは
配当金とは企業が「うちの会社に投資してくれてありがとう」という感謝の意を込めて、株主に会社の利益を還元する際に配られるお金です。
日本株の場合は1年に1~2回配当金を出す企業がほとんどです。
株を持っていれば勝手に得られるお金になるので、株を売って儲けを狙うやり方よりも非常に安易にお金を受け取ることが出来るのがメリットです。
配当利回りが高いから投資するという考えは危険
配当金を多く得るには、単純に考えれば配当利回りが高いところに投資すればよいということになりますが、この考えだけで投資をするのはNG行為です。
配当金というものは必ず毎年決まった額ではなく、企業の業績や方針によって変動があります。
そのため、株価よりは読みやすいかもしれませんが安定しているわけではありません。
また、配当利回りは配当金額÷株価×100で表し、配当金額が上昇すれば配当利回りは上昇しますが、株価が下落した場合も配当利回りは上昇することになります。
株価が下落するということは、その企業に対して何かしらの懸念要素がある可能性が高いです。
企業の今後の業績が良くないだろうと見なされて株価が下落しており、その後本当に業績が悪化した場合は、会社の利益から配られる配当金も減る可能性があるということです。
即ち、配当利回りが高いのは一時的なもので、今後安定的にその配当額を支払うことが出来るかを見極める必要があります。
とはいっても、何も知識が無ければ見極める術も何もないので、ここからは将来その企業が安定的に配当金を払うことが出来るか、あわよくば配当金を増やすことが出来るかを判断する方法を紹介していきたいと思います。
バフェットコード
バフェットコードとは
配当金を増やす企業を見極めるには企業分析が必須の作業になります。
これを行うには「バフェットコード」というサイトを利用するのが良いでしょう。
「バフェットコード」とは、上場している企業の株価や業績等を簡単に調べることが出来るサイトであり、企業分析をする際は非常に役に立つサイトとなっています。
知ることが出来る情報は売上高や営業利益だけではなく、過去に支払われた配当金、配当利回り、財務状況を表す自己資本率、普段では聞きなれないROE,ROAなどを確認することが可能です。
過去の業績等を確認して、企業の動向を分析したい場合は必須のサイトと言えるでしょう。
バフェットコードはこちら
バフェットコードの使い方
上記はバフェットコードのトップ画面です。
テキストボックスに実際に調べたい企業の銘柄コードや企業名を入力することで、その企業の様々なデータを確認することが可能です。
今回は銘柄コード「9443」の「KDDI」を例に説明していきます。
先程のテキストボックスに「9443」と入れて検索をかけると、上記のようにKDDIの過去の業績等が掲載されているページが表示されます。
今回紹介する優良高配当株の判断方法もこのページを用いて判断することが可能なので、実際にこのサイトの画像を用いて紹介していきたいと思います。
優良高配当株の判断重要項目:[初級]
どんな株に投資する際もこの指標だけは確認すべき項目がいくつか存在します。
その重要度は配当利回りの高さよりも重要です。
ここでは、そんな最重要項目を紹介していきます。
売上高
売上高が年々増加しているかを確認します。
売上高が右肩上がりであるということは、その企業の商品やサービスが年々増加しており商売がうまくいっているということになります。
会社の利益の根源となる部分なので、右肩上がりでないとその会社の成長性を見込めなくなります。
まあ、これは説明が無くても当然と言えば当然のことですね。
むしろ、売り上げが下がっている会社に投資したいと思う人は明らかに少ないでしょう。
上記はKDDIの売上高や営業利益率を表しているグラフです。
売上高の見方は上記図の灰色の棒グラフの部分です。
年々右肩上がりで増えており、安定的に売り上げを伸ばしているということになります。
営業利益
売り上げがいくら多くでも、会社に入ってくる利益がマイナスであればその会社はお金を増やすことはできません。
営業利益がプラスであること、さらには年々増加しているかが求められます。
配当金は基本的に営業利益から支払われるものなので、営業利益が思うように伸びなければ今後配当金も伸びる可能性は低くなります。
営業利益の見方は上記図の赤い棒グラフの部分になります。
売上高と同様に右掛か上がりで伸びていることが分かります。
売り上げを伸ばしつつ、利益も伸ばしているので、経営に安定感があるのが分かるかと思います。
営業利益率
営業利益率は売上高のうち利益として得られた営業利益の割合を示す指標です。
8~10%あると優良と言われており、10%以上行けば文句なしの値と言えます。
営業利益が右肩上がりでも営業利益率が低いと成長の遅い企業ということを意味し、他にも景気の不況等何かしらの予期せぬアクシデントで営業利益が下がることになった場合、最悪赤字に転落する可能性もあります。
この点からも営業利益だけでなく、営業利益率も確認しておくべきでしょう。
営業利益率の見方は、先程の売上高を確認した時の図と同じ個所に記載されており、赤の折れ線グラフで表されています。
上記の図を見ると概ね20%程度で横ばいの動きをしていますね。
10%行けば優秀と言われている中で、その倍の値を叩き出しているのでとんでもなく利益が高い企業と読み取ることが出来ます。
自己資本率
自己資本率は会社が所有している資金の中で、会社自身のお金の割合を示すものです。
逆に会社以外のお金というのは、基本的に負債を指すことがほとんどです。
そのため、会社が持っているお金と借金の割合を確認できます。
40%以上あれば、その会社はそう簡単につぶれることは無いと言われており、60%も超えれば超優良です。
自己資本率が高ければ、ちょっとした大きな支出が発生しても自己資本で賄うことが可能なので安全性が高いことを意味します。
さらに重要なのは、直近の自己資本率だけでなく、過去から見た自己資本率の推移を確認して増加しているかを把握しておく必要があります。
特に、自己資本率が年々増加しつつ、借金もちゃんと返済しているかを確認することも重要です。
KDDIの自己資本率は44.6%とボーダーラインの40%を少し上回っています。
キャッシュリッチではありませんが、安全圏内の資本率かと思います。
配当金の増減
配当金を継続してもらうために優良高配当株を探しているのであれば、毎年の配当金の推移はかなり重要な項目です。
基本的に減配をしていないか、あわよくば年々増配しているかを確認します。
配当金が毎年一定というのもあまり好ましくありませんが、増配していても減配回数も多いと、ちょっとしたことですぐに減配してしまうという安定性のないことを意味しますので、投資先としてはお勧めできません。
配当金は右肩上がり傾向である企業を探しましょう。
配当金の増減は上記図の灰色の棒グラフです。
きれいな右肩上がりを築いていますね。
2020年のコロナショック時では業績を落とし多くの企業が配当金を減配した中で、KDDIは増配し続けており、株主還元姿勢が非常に高い企業と言えます。
優良高配当株の判断重要項目:[中級]
ここからはあまり聞きなれない言葉が多く出てきます。
ただ、優良株かどうかを見極めるうえで重要な指標に当たるので頑張って確認していきましょう。
EPS
EPSは1株当たりの利益を表すもので、当期純利益÷発行済み株式総数で算出することが出来ます。
EPSが高いと大きく利益を出したことになるので、その企業の収益力が高いことを意味します。
また、このEPSが年々増加していれば、収益力が増加していることになるので成長力も高いということになります。
要はEPSも右肩上がり傾向にあるものの方が投資妙味がある企業ということになります。
EPSは上記図の赤い棒グラフに当たります。
こちらもきれいな右肩上がりです。
売上高は右肩傾向でも、EPSはそうでもない企業は多く存在しますので、EPSも要チェックポイントです。
営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは本業で稼げているかどうかを示す指標です。
右肩上がりであることが望ましいですが、プラスになっていれば十分良いでしょう。
ただ、過去に遡ってちょくちょくマイナスの都市がある場合は懸念材料の一つになりますので、投資をする場合は注意しておきましょう。
営業キャッシュフローは、左のメニューより「株価」を選択し、表示されたページの下の方に上記のような図が存在します。
その図の青い棒グラフ部分が営業キャッシュフローになります。
ややがたつきはありますが、どの年もプラスの結果を出しているので概ね問題ないでしょう。
ROE
ROEは自己資本利益率ともいわれます。
企業の純資産からどれだけ効率的に純利益を生み出せているかを定める指標で、当期純利益÷純資産で求めることが出来ます。
一般的に高ければ高い程よいとされているもので、日本の企業では10%を超えれば優秀とされています。
資産のうち純資産から求めるので、負債は含まれていません。
KDDIのROEは13.2%と非常に優秀です。
純資産を使って効率的に利益を生み出すことが出来ていますね。
ROA
ROAは総資産利益率ともいわれます。
当期純利益÷総資産で表すことが出来、こちらもROEと同様に資産からどれだけ利益を生み出せているかを表す指標になります。
ROEとの違いは、会社の負債を含めるかどうかという点です。
ROEは純資産であるため、負債を含めなかったのに対して、ROAは総資産であるため、会社の負債も含めて計算します。
業種にも寄りますが、ROAは5%を超えると優良とされています。
KDDIのROAは5.9%です。
ROEもROAも基準値を超えており、より優秀さが分かると思います。
配当性向
配当性向は企業が得た利益からどれだけ配当金として支払われたかの割合を示すものです。
高ければ高いほど配当金を多く出していることになるので株主還元姿勢は高いことになりますが、かなり無理をして配当金を支払っていることになるので、継続して毎年同じ配当金を出せるかが不安になってきます。
かといって低すぎると、その企業はあまり配当金を出さない株主還元姿勢が低い会社ともとらえることが出来ますので、だいたい30~40%ほどがちょうどよい水準と言われています。
配当性向は「配当利回り・会予」が記載されている箇所の2つ下あたりに記載されています。
KDDIの場合だと、41.2%となります。
基準より多少上回る数値ですが、まだまだ問題ない値と言えるでしょう。
優良高配当株の判断重要項目:[上級]
優良高配当株かどうかの判断は、数値以外のところでも判断可能です。
数値ではない以上、自身で判断しなければいけない部分が大きい項目となり、分析も今まで以上に難しいですが、是非知っておいて欲しい内容です。
事業内容が豊富か
1つの事業しか行っていない企業だと、現在行っている事業が非常に優秀な成績を収めていたとしても、その事業そのものが斜陽産業であったり、その事業で大きな問題が発生した場合は主力の稼ぎ柱に大きなひびが入ることになりかねません。
多くの事業に分散して売り上げを出していれば、1つの事業で失敗しても他の事業で利益を確保することが出来るのでリスクを分散することが出来ます。
そのため、企業に投資する際は利益等の業績だけでなく、何でどのくらいの利益を得ているかも把握しておくことが大切です。
海外展開があるか
日本は人口が徐々に減少していってる国です。
そのため、いくら国内で優秀な企業だとしても、人口が減少している国内だけでしか展開をしていないのであれば将来の成長性は見込めません。
そのため、海外にも事業展開し、積極的に事業先の拡大をしている企業が優良企業として好まれます。
例え現時点では国内の売り上げが大半だったとしても、少なからず海外にも事業展開の姿勢を見せているのであれば投資対象として問題ないでしょう。
配当政策はどうなっているか
企業によっては配当金をあまり出さず、自身の事業に投資して企業を成長させ、株価を上げることで株主に利益を還元する企業も少なくなりません。
このような企業は今後も配当金を増やす可能性は低いでしょう。
他にも、業績に連動して配当金を出す企業なども存在し、直近は業績が良かったが、利益が出なくなると配当金が大きく減配することもあります。
配当金を出す方針は企業によって様々なので、各企業の配当方針はよく理解しておき、内容を承諾したうえで投資をするか判断するべきでしょう。
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まとめ
今回は高配当株の企業分析の仕方について解説していきました。
主に確認すべき点は以下の通りです。
- 売上高
- 営業利益
- 営業利益率
- 自己資本率
- 配当金の増減
- EPS
- 営業キャッシュフロー
- ROE
- ROA
- 配当性向
- 事業内容が豊富か
- 海外展開があるか
- 配当政策はどうなっているか
勿論、これらの数値や内容が完璧だからと言って、必ずしも未来の業績も保証されるわけではありません。
その会社が将来どう転んでも、最終的にはその会社に投資することを決断した本人の責任になります。
指標を全てくみ取ったうえで、ご自身が信用できると思ったものに投資をするように心がけてください。
そして、寝ててもお金が入ってくるマネーマシーンを築き上げていきましょう。
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